10月の映画鑑賞メモ

芸術の秋ってわけではないんだけど、今月は充実。1日は『エル・トポ』も見てるしね(9月+10月1日の映画鑑賞メモ)。時間がぽこっと空く日があって、遠くの映画館まで足を運ぶことができた。やっぱ、映画は映画館だな。いくらテレビが大きくなったって、あの空間ほど心奪われるものはない。

テオ・アンゲロプロス『霧の中の風景』,1988年,ギリシア=フランス=イタリア,早稲田松竹 (8日)

何年かぶりに、良い映画観たなーとしみじみ思った。幼い姉弟が、何も見えない霧の中に自分たちの風景を見つけていく旅。大人になることは、純粋な瞳を、死や苦しみで汚しながら、自分の生きる世界の秩序を作っていくこと。混沌から光と闇がわかれ、そして大地と、そして木を見つけるように。テオ・アンゲロプロス独特の長回しロングショットが、幻想的で、姉弟の美しく悲しい物語を紡いでいく。こんなに叙情的な映画も撮る監督だとは思わなかった。
ずっと見たくて、やっと見ることができたよ。同時上映の『ユリシーズの瞳』も見たかったが、時間の都合であきらめる。ま。気長に待ってれば、上映の機会がまたあるだろう。

ガブリエル・アクセル『バベットの晩餐会』,1987年,デンマーク,TOHOシネマ府中 (10日)

TOHOシネマの午前十時の映画祭、何度見てもすごい50本の企画。何度か見てるけど、スクリーンで見られたことに感謝。ほぼ満席だった。映画館という環境の良さもあるけど、同じシーンを見てクスッと笑ったり、泣いたり。知らない人たちだけど、一体感というか、感動を一緒に味わっている感じが良かった。晩餐会に出席した人たちが、心がひとつになり、同じ幸せを感じたようにね。

ジャン=ピエール・ジュネ『ミックマック』,2009年,フランス,恵比寿ガーデンプレイスシネマ (11日)

ファンタジーコメディ社会派?。「アメリ」以上「ロストチルドレン」未満のジュネワールド。愛すべき奇人変人話を描かせたら、この人が一番じゃないかと思う。すごい盛り上がりがあるわけじゃないが、小ネタの連続投下。私、こういうの、好きなのよ。。。「ミックマック」は、いたずらの意味。武器製造会社への復讐とスケールがでかいイタズラだが、超ローテクなところが笑える。ちょこちょこ映画ネタが出てくるのも楽しい。冒頭は「三つ数えろ」。空港で「俺と話してるのか?」(「タクシー・ドライバー」)。「デリカテッセン」を彷彿させる1ショット。あと「用心棒」がヒントになっていて、メンバー7人という人数は「七人の侍」に敬意を払っているとのこと(どこかで読んだ監督インタビュー)。なるほどねぇ。。。

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