11月の映画鑑賞メモ

テオ・アンゲロプロス 『シテール島への船出』,1984年,ギリシャ=イタリア,NHKBS録画(3日)

「国境三部作」のうちの1作。ラストシーンのために作られた映画。途中までは、いつにも増して、何が言いたいのか分かりにくかったが、ラストシーンでそれまでの展開を全て飲み込んで、感動が押し寄せてきた。やっぱり凄い監督。途中、主人公の老人が繰り返し言う「しなびたりんご」の意味が分からず、気になった。「ギリシャ りんご」でググってみると(なんて便利になったんだ)、リンゴは「不和」の象徴(ギリシャ神話由来)らしい。それを知った時、幻想的な美しいシーンの数々とともに、どこにも根を張る場所がない主人公の孤独がじわーっと胸に滲みてきた。テオ・アンゲロプロスはやっぱり映画館で見たいなぁ。美しいカットがたくさん。あースクリーンだったら…と何度も溜め息が出てしまうの。

フランソワ・トリュフォー『アメリカの夜 映画に愛を込めて』,1973年,フランス,TOHOシネマ府中(6日)

TOHOシネマ午前十持の映画祭、何度見ても凄い50本企画。この映画、もう何度も見ているのに、早起きして映画館に行っちゃったよ。感想はとっくの昔にCinemaDiaryにアップしているが、見直すと、やっぱり新しい発見がある。たくさんの登場人物、しかもそれぞれがとても個性的なキャラクター。これだけたくさんの人物をちゃんと描き分けつつ、いろんなエピソードがごちゃごちゃに入り乱れながら、でも話を破綻なく収束させていく。これって、ジャン・ルノワールの手法だ!と思った。トリュフォーが、ジャン・ルノワールを尊敬していたのは知っていたが、その影響にやっと気づいた←遅すぎ(トリュフォーファン歴20年)。トリュフォーは、ルノワールの『ゲームの規則』を数え切れないぐらい見たと言っていたが、特にこの『ゲームの規則』を彷彿させる。
ま、そんなこと知らなくても、楽しい映画なんだけどね。見る度に、どんどん好きになる。20年数年ぶりにスクリーンで見られて良かった。この映画は心が躍るんだよね。終わった瞬間、ああ幸せだなぁと思った。スキップして帰りたいような気持ち。

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