ニキータ・ミハルコフ『太陽に灼かれて』DVD化

うれしいDVD化情報。ニキータ・ミハルコフ『太陽に灼かれて』(1994年)。

私にとってロシアの監督といえば、まずアンドレイタルコフスキー。次が、ニキータ・ミハルコフ。タルコフスキーが体制批判を意識したのに対して、ミハルコフは政治とは距離をおいて、ロシア文学をそのまま映像にしたような、重厚で、芸術的で、暗いメロドラマを撮り続けていた。しかし、社会主義崩壊後に発表した『太陽に灼かれて』は、以前の文学的香りはそのままに、元没落貴族のKGB幹部、不遇の作曲家の娘、社会主義革命の英雄という3人の悲しい恋愛のなかに、社会主義特権階級の汚さ、意味もなく殺し殺されるスターリン大粛正の事実を描ききった。今は数少なくなった文芸大作であり、ミハルコフの傑作でもある。ミハルコフ自身、父は作詞家、母は詩人という芸術一家に育っており、社会主義革命下での芸術家の不遇や、表現の不自由を身にしみて感じていたのかもしれない。
東京に出てきて間もない頃、有楽町の映画館まで見にいった。心に焼きついていている1本である。もちろん、アマ●ンさんでポチッと予約済み。2000円という価格もステキ。

さらに、うれしいことに、ミハルコフの新作公開中>『戦火のナージャ』オフィシャルサイト
今、予告みたけど、『太陽に灼かれて』の続編っぽい。でもさー、あの時、粛正された大佐や、自殺した男までもが実は生きてましたって言われても。そんなのありかよ…って、ちょっとツッコミいれたくなっちゃったんですけど。『太陽に灼かれて』、『戦火のナージャ』ともに、大佐役を監督自身が、その娘ナージャを監督の娘が演じている。『太陽に灼かれて』その後を見届けるために、見にいくつもり。

ミハルコフつながりで、関係ない話をもう一つ。先日の地震で、ミハルコフ『シベリアの理髪師』DVDが棚から落下し、ケースが割れ、DVDがキズだらけになってしまったのだった。『シベリアの理髪師』は、もう定価では買えないだろうなぁ。『シベリアの理髪師』、『黒い瞳』など、他の代表作も再販売してほしいぽ。

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