長文です(^_^;。
ハイジに出てくる黒パンは、全粒粉、雑穀やライ麦などで焼いたパン。昔は、小麦粉(全粒粉)が高級品だったので、雑穀などいろいろ混ぜて焼いたのだそう。
今は、ちょっと良いパン屋に行けば、黒いハード系パンがたくさんあるけど、たぶん100%全粒粉・雑穀などなくて、白い小麦粉がブレンドされている。噛みごたえはあるけど、そんなに固くもない。しかし、全粒粉のみで焼くとなると、グルテンが少ないから、膨らみの悪い、もっと固いパンになると思う。何日も保存したとすれば、もうカチコチだったろう。ペーターのおばあさんが食べられないわけだよ。
しかし、時代は変わる。現在は、全粒粉もライ麦も、白い小麦粉よりずっと高い。黒パンの方が白パンより、はるかに高級品である。
パンを焼いただけじゃネタとしてつまらん。どうせやるなら、35年間の憧れ、チーズのせ黒パン、干し肉、山羊ミルクのハイジご飯をつくってみよう!と張りきってみたものの、材料調達に1週間も奔走し、後悔することに(笑)。
まずチーズ。グーグル先生が、ハイジのチーズは「ラクレット」と教えてくれた。が、H王子市にそんなチーズがあるはずもなく、仕事帰りに渋谷と新宿のチーズ専門店に寄ったが、見つからず…orz。あきらめかけたところに、新宿の店員さんからエメンタールチーズの試食をすすめられる。2年熟成もので、この店にしかないとのこと。一口食べると、旨みの固まり!。エメンタールも、スイスを代表するチーズだ。もしかしたら、ハイジも食べたかもしれない、いや食べていたにちがいない!。と、勝手に拡大解釈し、これを購入。
次に、干し肉。これもグーグル先生が「ビュンドナー・フライシュ」と教えてくれたが、渋谷でも新宿でもネットでも見つからず。ビーフジャーキーが近いのかなぁとは思ったが、オッサンがビールのつまみにかぶりついているイメージが、少女時代の憧れをぶっ壊しそう。代わりに、イタリアの生ハムを買う。イタリアの生ハムは燻製せずに、塩漬けして干すだけと聞いたので、干し肉に近いかも…と、これも勝手に解釈。
さらに、予定外だったが、「ミューズリー」というシリアルを購入。スイス産。これは雑穀にドライフルーツが入ったもので、袋の説明を読むと「もとはスイスの羊飼いの伝統的な携帯食を、食べやすく改良した」だって。「スイスの羊飼い」ってとこに過剰反応(笑)。
そして、山羊のミルク。これは楽●であっさり発見し、ぽちっと注文した。しかし。配送が1週間に1回とのことだったので、配達日に合わせてパンを焼いたのだが、待てど暮らせど届かず(T-T)。店に問い合わせたら、発送漏れのお詫びメールが届く。結局、注文をキャンセルし、山羊のミルクはあきらめた。。。
ここまでくると、いったい何やってるんだ>自分と、さすがに呆れてしまったよ 。
黒パン作りで、参考にしたのは、前回も紹介した『絵本からうまれたおいしいレシピ』。このレシピは、小麦粉と全粒粉のみだったので、よりハイジに近づけるため、全粒粉を減らして、少量のライ麦を加えるというアレンジをしてみた。
オーブンからパン出したとき、思わず笑ってしまった。だって、見た目はアニメに出てたパンそのまんまなんだもの。表面はパリパリに固く、中味はやわらか。ライ麦がちょっとボソっとした食感だけど、とても香ばしくて、なかなか良い仕事をしてる。翌日の方が、しっとりしておいしかったな。
パンを切り、チーズをのせてグリルで焼いてトロトロに。生ハム、そして牛乳とミューズリー。
35年の憧れのために、時間も手間もお金もかけたのだが、結局できたのは、
どれもが微妙にズレてる、似て非なるハイジご飯
なのだった…。
エメンタールはそのままでも穏やかな風味のチーズだが、熱を加えると香りも味もさらにまろやかになっておいしい。そして、はじめて食べたけど、イタリア生ハムがうまいっ!。あまり匂いやクセがなくて、半乾きくらいのしっとりさ、塩分もほどほどで、旨みが濃縮してる。一緒に買ったイタリアサラミもうまいっ!。黒パンが、ムギムギした地味深い味わいので、塩分・旨みが強いチーズや生ハムとよく合う。ミューズリーは牛乳でしばらくふやかすと、食べやすくなる。健康的な味。おいしくもないけど、不味くもない。
いつかスイスで本物食べたいな。実現するかどうか分からないが、ハイジご飯ツアー参加者募集中。
「ハイジご飯」白パン編・黒パン編。楽しく読みました。
アニメのハイジは熱心に見ていないけれど,原作の翻訳は熱心に読みました。
ヨハンナ・シュピリ『アルプスの少女ハイジ』(角川文庫)
そして次の本も。
新井満・新井紀子『ハイジ紀行–ふたりで行く『アルプスの少女ハイジ』の旅–』(講談社文庫)
文章:純丘曜彰・写真:純丘路子『ハイジに会いたい!–物語の背景とスイスアルプスへの旅』(三修社)
かつてブログで次のように書きました。
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『ハイジに会いたい!—-物語の背景とスイスアルプスへの旅—-』(三修社,2006年)を読む。
この本は実に行き届いた旅行ガイドだ。
どこで何を買うか、何を食べるか、どの道を歩くとよいか……etc.。
すべて写真付きで教えてくれる。
内容も原作に忠実。
たとえば次の一節。
病気になった、家族を失った、親友に裏切られた、生活や仕事が思うようにならない。
そういう物語は、今日もまた世界中のあちこちで繰り返されています。
こういうとき、人はその意味を問いつめ、
なんとか自力だけで解決しようと苦しみあがき、
ついには、運に見放された、神に見捨てられた、
と思い悩むものです。
けれどもそれは、長い目で見れば、
それがなければ出会わなかった人に出会い、
得られなかったものを得られるために、
さらには、
もしかすると自分の生きている間にかなうよりももっとずっと遠い善いことのために、
自分が越えて渡るべき試練の川なのかもしれません。
小さな出来事を捉えて、
良いとか悪いとか思いわずらうのは、一文だけを取り出して、
長い小説の全体を論評するようなものです。
雲に、空に、風に
道が与えられるように、
クララにも、そして、あなたにも、
あなたの歩きうる道は授けられる。
これこそ、シュピーリが好んで引用する信仰詩の一節でした。
(『ハイジに会いたい!—-物語の背景とスイスアルプスへの旅—-』(三修社,p.99)
本当にその通りだ。
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ハイジご飯ツアーにはきっと良い旅行の手引き書となるでしょう。
誘ってくださいね。