ハイジご飯をつくってみよう 黒パン編

110520blackhaiji1.jpg長文です(^_^;。

ハイジに出てくる黒パンは、全粒粉、雑穀やライ麦などで焼いたパン。昔は、小麦粉(全粒粉)が高級品だったので、雑穀などいろいろ混ぜて焼いたのだそう。
今は、ちょっと良いパン屋に行けば、黒いハード系パンがたくさんあるけど、たぶん100%全粒粉・雑穀などなくて、白い小麦粉がブレンドされている。噛みごたえはあるけど、そんなに固くもない。しかし、全粒粉のみで焼くとなると、グルテンが少ないから、膨らみの悪い、もっと固いパンになると思う。何日も保存したとすれば、もうカチコチだったろう。ペーターのおばあさんが食べられないわけだよ。
しかし、時代は変わる。現在は、全粒粉もライ麦も、白い小麦粉よりずっと高い。黒パンの方が白パンより、はるかに高級品である。

パンを焼いただけじゃネタとしてつまらん。どうせやるなら、35年間の憧れ、チーズのせ黒パン、干し肉、山羊ミルクのハイジご飯をつくってみよう!と張りきってみたものの、材料調達に1週間も奔走し、後悔することに(笑)。
まずチーズ。グーグル先生が、ハイジのチーズは「ラクレット」と教えてくれた。が、H王子市にそんなチーズがあるはずもなく、仕事帰りに渋谷と新宿のチーズ専門店に寄ったが、見つからず…orz。あきらめかけたところに、新宿の店員さんからエメンタールチーズの試食をすすめられる。2年熟成もので、この店にしかないとのこと。一口食べると、旨みの固まり!。エメンタールも、スイスを代表するチーズだ。もしかしたら、ハイジも食べたかもしれない、いや食べていたにちがいない!。と、勝手に拡大解釈し、これを購入。
次に、干し肉。これもグーグル先生が「ビュンドナー・フライシュ」と教えてくれたが、渋谷でも新宿でもネットでも見つからず。ビーフジャーキーが近いのかなぁとは思ったが、オッサンがビールのつまみにかぶりついているイメージが、少女時代の憧れをぶっ壊しそう。代わりに、イタリアの生ハムを買う。イタリアの生ハムは燻製せずに、塩漬けして干すだけと聞いたので、干し肉に近いかも…と、これも勝手に解釈。
さらに、予定外だったが、「ミューズリー」というシリアルを購入。スイス産。これは雑穀にドライフルーツが入ったもので、袋の説明を読むと「もとはスイスの羊飼いの伝統的な携帯食を、食べやすく改良した」だって。「スイスの羊飼い」ってとこに過剰反応(笑)。
そして、山羊のミルク。これは楽●であっさり発見し、ぽちっと注文した。しかし。配送が1週間に1回とのことだったので、配達日に合わせてパンを焼いたのだが、待てど暮らせど届かず(T-T)。店に問い合わせたら、発送漏れのお詫びメールが届く。結局、注文をキャンセルし、山羊のミルクはあきらめた。。。
ここまでくると、いったい何やってるんだ>自分と、さすがに呆れてしまったよ 。

黒パン作りで、参考にしたのは、前回も紹介した『絵本からうまれたおいしいレシピ』。このレシピは、小麦粉と全粒粉のみだったので、よりハイジに近づけるため、全粒粉を減らして、少量のライ麦を加えるというアレンジをしてみた。
オーブンからパン出したとき、思わず笑ってしまった。だって、見た目はアニメに出てたパンそのまんまなんだもの。表面はパリパリに固く、中味はやわらか。ライ麦がちょっとボソっとした食感だけど、とても香ばしくて、なかなか良い仕事をしてる。翌日の方が、しっとりしておいしかったな。

110520blackhaiji2.jpgパンを切り、チーズをのせてグリルで焼いてトロトロに。生ハム、そして牛乳とミューズリー。
35年の憧れのために、時間も手間もお金もかけたのだが、結局できたのは、

どれもが微妙にズレてる、似て非なるハイジご飯

なのだった…。

エメンタールはそのままでも穏やかな風味のチーズだが、熱を加えると香りも味もさらにまろやかになっておいしい。そして、はじめて食べたけど、イタリア生ハムがうまいっ!。あまり匂いやクセがなくて、半乾きくらいのしっとりさ、塩分もほどほどで、旨みが濃縮してる。一緒に買ったイタリアサラミもうまいっ!。黒パンが、ムギムギした地味深い味わいので、塩分・旨みが強いチーズや生ハムとよく合う。ミューズリーは牛乳でしばらくふやかすと、食べやすくなる。健康的な味。おいしくもないけど、不味くもない。

いつかスイスで本物食べたいな。実現するかどうか分からないが、ハイジご飯ツアー参加者募集中。

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『ハイジご飯をつくってみよう 黒パン編』へのコメント

  1. 名前:teoria21 投稿日:2011/07/03(日) 19:02:14 ID:5c517870a 返信

    「ハイジご飯」白パン編・黒パン編。楽しく読みました。
    アニメのハイジは熱心に見ていないけれど,原作の翻訳は熱心に読みました。
    ヨハンナ・シュピリ『アルプスの少女ハイジ』(角川文庫)
    そして次の本も。
    新井満・新井紀子『ハイジ紀行–ふたりで行く『アルプスの少女ハイジ』の旅–』(講談社文庫)
    文章:純丘曜彰・写真:純丘路子『ハイジに会いたい!–物語の背景とスイスアルプスへの旅』(三修社)
    かつてブログで次のように書きました。
    ————————————–
    『ハイジに会いたい!—-物語の背景とスイスアルプスへの旅—-』(三修社,2006年)を読む。
    この本は実に行き届いた旅行ガイドだ。
    どこで何を買うか、何を食べるか、どの道を歩くとよいか……etc.。
    すべて写真付きで教えてくれる。
    内容も原作に忠実。
    たとえば次の一節。
    病気になった、家族を失った、親友に裏切られた、生活や仕事が思うようにならない。
    そういう物語は、今日もまた世界中のあちこちで繰り返されています。
    こういうとき、人はその意味を問いつめ、
    なんとか自力だけで解決しようと苦しみあがき、
    ついには、運に見放された、神に見捨てられた、
    と思い悩むものです。
    けれどもそれは、長い目で見れば、
    それがなければ出会わなかった人に出会い、
    得られなかったものを得られるために、
    さらには、
    もしかすると自分の生きている間にかなうよりももっとずっと遠い善いことのために、
    自分が越えて渡るべき試練の川なのかもしれません。
    小さな出来事を捉えて、
    良いとか悪いとか思いわずらうのは、一文だけを取り出して、
    長い小説の全体を論評するようなものです。
    雲に、空に、風に
    道が与えられるように、
    クララにも、そして、あなたにも、
    あなたの歩きうる道は授けられる。
    これこそ、シュピーリが好んで引用する信仰詩の一節でした。
    (『ハイジに会いたい!—-物語の背景とスイスアルプスへの旅—-』(三修社,p.99)
    本当にその通りだ。
    —————————————————-
    ハイジご飯ツアーにはきっと良い旅行の手引き書となるでしょう。
    誘ってくださいね。

  2. 名前:shimi 投稿日:2011/07/03(日) 22:36:50 ID:8b202d1bf 返信

    コメントありがとうございます。
    アルプスの少女ハイジ、子供の頃大好きでした。
    4才か、5才ぐらいだったと思いますが、
    はじめて日本とは違う世界に触れ、外国への憧れを抱いたアニメだったと思います。
    原作は読んでいませんが…(^^ゞ。
    紀行文の一節、じーんと来ますね。
    ハイジの明るさや前向きさを思い出しました。
    素敵な本を紹介していただき、ありがとうございます。
    ハイジに憧れて旅する人は多いのですね。
    いつか実現するかもしれないハイジご飯ツアーのために、読んでみようと思います。

  3. 名前:teoria21 投稿日:2011/07/04(月) 00:07:03 ID:e8abb251b 返信

    さきほどのコメントの続きを昔書いたブログから転載しますね。
    ———————————————–
    本当にその通りだ。
    僕が1997年に書いた「私の教育史」にも次のように。
    1983年4月,大学院博士後期課程に進学。
    84年3月, 1年半交際していた女性と結婚。
    結婚式では「いよいよこれから本格的な研究生活に入るのだ!」と身の引き締まる思いがした。
    ところが,新婚旅行から帰って三週間後(1984年4 月) 。
    ひどい扁桃炎によって39度前後の熱が三ヶ月続く。
    入院して扁桃腺の摘出手術を受けるも今度はその奥のリンパ節の炎症が続き,結局,八年間の闘病生活(寝たり起きたりの生活)を余儀なくされる。
    全身の倦怠感がひどく,歩いて15分のところにある京大の図書館にも
    よほど体調の良い時でないと行けない。
    研究者としてもっとも重要な時期を何も出来ずに蒲団の中で過ごしていることは,絶望的につらかった。
    ただ,この時,病床で読んだ池波正太郎・藤沢周平といった作家の時代小説とエッセイからは大きな慰めと「生きる知恵」のようなものを得ることが出来たように思う。
    また,病床で読んだ新聞記事によって土田杏村(つちだ・きょうそん)という人物(教育史の上では「自由大学運動」の指導者として知られる大正時代に活躍した在野の「文明批評家」)もまた長く病床にあったことを知ったことも大きな出会いであった
    (共感を覚えて「健康が回復したら杏村の思想研究を始めよう!」と決意し,実際に研究を始めてみるとその思想の奥深さに魅了されて現在の主要な研究テーマは「杏村研究」となっている)。
    さらにまたこの時期,たまたま知り合った市民運動「脱学校講座」の主催者辻創(つじ・そう)氏を通じて「プロ教師の会」(諏訪哲二・河上亮一ら)の教育思想と実践(権力的存在としての教師がその権力性を逆手にとって生徒の自治と自立を創る!)に触れたことは私の教育観を大きく変える契機となった。
    「病」は決して単なるマイナスだけではない。
    http://ha3.seikyou.ne.jp/home/Kazuhiro.Yamaguchi/Watasino.htm
    この『ハイジに会いたい!』の最後は,次のように結ばれている。
    家族や病気、仕事や恋愛など、
    いろいろ思いどおりにならない境遇にあって、
    悩み苦しみながらも、
    いつの日にかやってくる幸せを祈っているハイジやクララ、ペーターは、
    たぶん世界中に大勢いるのです。
    そして、そのそれぞれに物語があることでしょう。
    しかしながら、それは、
    自分自身で物語を前へ進めて行けばこそ、です。
    そこには、派手なアクションもアドヴェンチャーもないかもしれません。
    クララが立った、というようなドラマティックな結末も、
    なかなかそう簡単には実現しないでしょう。
    でも、そのあたりまえの一歩一歩もまた、
    長い物語の一ページであって、
    きっとそのページがないと、
    次の章には話が転がらないのです。
    アルムの山小屋も、
    毎日、なんの出来事があるわけでもありません。
    日が昇り、風が吹き、雲が行き、日が暮れて、星が照らすだけ。
    でも、そういうなにもない毎日の積み重ねのむこうにこそ、
    一冊の本のような永遠の幸せがあるのです。
    マイエンフェルトに行ったなら、
    ぜひあの山小屋を訪ねて、
    あなたも、あの遠い景色の向こうにある幸せへ、
    深く思いを巡らせてください。
    きっとそこに、あなたの歩くべき道も見つかるはずです。
    (『ハイジに会いたい!—-物語の背景とスイスアルプスへの旅—-』(三修社,p.197)
    やっぱり「ハイジ」をたずねてスイスに行くしかない。
    —————————————————
    というわけでこのブログを書いていた時期はスイスに行こうと本気で考えていたのでした。
    ハイジご飯ツアー,実現していただくしかないでしょ。(笑)

  4. 名前:shimi 投稿日:2011/07/04(月) 08:54:31 ID:ac9e6d7be 返信

    Blogの続き、ありがとうございます。
    感慨深く読ませていただきました。
    確かに、ハイジには両親がいませんし、
    ペーターの家は貧困に苦しんでいますし、
    クララもハイジと出会うまではひとりぼっちで病気に苦しんでいました。
    よくよく考えれば、ハイジご飯だって、本当につましい食事です。
    みんなそれぞれに悲しい境遇や問題を持っていますが、
    それを嘆くことなく、受け入れ、日々の生活のなかに幸せを見つけていました。
    私は未熟者なので、突然の不幸が襲ってくると、
    それを受け入れることがなかなか難しく、なぜ私だけ?と思いがちです。
    でも、それでは、次の1ページを書き進めることはできませんね。
    ハイジご飯ツアー、いつか実現したいです。