濱田屋 豆パン

ブーランジェリースドウ(10月23日)に続き、世田谷パン屋シリーズ。

そこらのスーパーなどで売られている大量生産のパックあんみつ。そして豆大福。これらが、赤えんどう豆に対して犯した罪は大きいと思う。えんどう豆を食べる機会って、今時、あんみつか、豆大福ぐらいしかない。それなのにですよ、この安物のあんみつパックや豆大福きたら、どいつもこいつもマズイ赤えんどう豆ばかり入れやがって(怒)。コツコツと固くて、もそもそっとして、大して味もない。私はこの赤えんどう豆が嫌いで、あんみつでは黒蜜のなかに沈没させて放置し、豆大福の豆は全部ほじり出していた。他に赤えんどう豆を食べることもあまりないから、赤えんどう豆=まずいものと思っていたのだった。

111025mame.jpgしかし、私のこの四十年にも及ぶ赤えんどう豆嫌いを一瞬にして克服させたパンがあった。それが濱田屋の豆パン。

豆パン 1個140円

濱田屋は世田谷線、西太子堂駅から歩いて5分ぐらい、三軒茶屋駅からだと世田谷通りを西太子堂方面へ、10分ぐらいのとこにある。この店の特徴は、「和」のパン屋。店構えも、入り口が格子戸で「営業中」と木の札がかかっているだけ。見た目は蕎麦屋か寿司屋みたいで、格子戸のなかも殆ど見えないから、知らなければ、そこでパンを売っているとは気がつかないと思う。店員・職人さんたちも、みんな頭を手ぬぐいで覆い、藍色の作務衣を着ている。
パンも和テイストのものが豊富。この店のいちばん人気が「豆パン」。他の店でも豆パンは珍しくないが、大抵、金時豆か大納言。しかし、濱田屋は、赤えんどう豆。最初に行ったとき、店の看板商品なので、とりあえず、ひとつだけ買ったのだが、これがビックリするぐらいおいしかった。以来、行く度に4個入りを必ずゲット。
この赤えんどう豆は、皮もやわらかく、なかはホクホクとして、甘さのなかに塩味が効いている。赤えんどう豆ってこんなにおいしかったんだ!、今までマズイ赤えんどう豆しか食べてなかっただけなんだ!、と40年間の過ちにやっと気づいた。そして、私が今まで赤えんどうに対して行ってきた悪行三昧の数々を反省したのであった…。私が想像するに、赤えんどう豆は皮が固いし、美味しく炊くのは手間ひまがかかり、また難しいんではないだろうか。だから他のパン屋は使わない、いや使えないのかもしれない。日本人好みのしっとり、もちもち、きめ細かい真っ白なパン生地と、甘しょっぱい豆がよく合う。一度食べたら、また食べたくなってしまう、やみつきになるパン。

このほかのオススメは、きんぴらパン=薄いパン生地に、甘めの、シャキシャキきんぴらたっぷり(写真:豆パンの後ろがきんぴらパン)。それと各種あんぱん。定番のくるみあんぱんなどのほか、季節によって、いろんなあんぱんが並ぶ。今の時期だと、栗あん、かぼちゃあん、芋あんなど。これも薄めのパン生地に、透明感がある、さらさらっーと口のなかでとけてしまうような、甘さ控えめの上品なあんこがたっぷり。付け加えておくと、店の看板である「和パン」だけでなく、クロワッサンやバケットもハイレベル。

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