2月の映画鑑賞メモ

ジェリー・シャッツバーグ『スケアクロウ』1973年アメリカ,DVD
アメリカン・ニュー・シネマを代表する作品の一つ。最初のシーンがすべてを象徴するようで良い。荒涼として、風が吹きすさむ一本道。普通だったら友だちにならないような正反対の二人が出会い、人生の旅路がはじまる。アメリカン・ニュー・シネマのなかで、唯一、絶望のなかに一筋の救いがある。そこが何とも言えない余韻を残す。

デヴィッド・フィンチャー『ドラゴン・タトゥーの女』2011年アメリカ,TOHOシネマ
一言で言うとクール。愛想悪くて怖そうだけど実は天才ハッカーで美人とか、華麗なる一族のドロドロとか、オチも含めて、終わってみると何処にでもありそうな要素をかき集めたサスペンスなんだけど、ぐいぐい引き込まれてしまう。前半は新聞記者とハッカーの話を並行で展開して謎をひっぱていき、二人が出会ってからはつんのめりそうなスピード感。クロスカットでシーンを畳みかけるようにして謎に迫っていく。『セブン』の時も思ったけど、この監督はどよーんとした不吉な空気感を作るのが巧い。昨年の『ソーシャル・ネットワーク』の評価も高かったし、今、一番ノリノリの監督かも。

ピーター・イエーツ『マフィーの戦い』1972年1月,DVD
ピーター・オトゥール(←アラビアのロレンスの人)あっての映画。彼の美しいグリーンの瞳がどんどん狂気じみていく様子は、見ちゃいけないものを見てしまった感じ。娯楽作としてのおもしろさもあるけど、オトゥールの狂った瞳が戦争の虚しさをどどどどーっと感じさせる。

馬場康夫『私をスキーに連れてって』1987年日本,DVD
スキー板、ウェア、車、小道具…細部にいたるまでバブルの流行全開。仕事にも、遊びにも、恋にも前向きな若者たち、トレンディドラマラブストーリー。この時代の流行を知らないと楽しめないだろうなぁ。その意味で40代~50代が懐かしむ映画かな。今の若者にはウケないだろうなぁ。

タミアーノ・ダミアーニ『群盗荒野を裂く』1968年イタリア,DVD
隠れ名作。マカロニウェスタンと言われているけど違うなぁ。ラストまではお調子者のメキシコ人山賊チュンチョと、クールなアメリカ人、対照的な二人の友情、仲間の結束や裏切り、派手な銃撃戦…。マカロニの基本法則に乗っかってるんだけど、ラストの一発の銃弾が重い。決して互いに裏切らなかった二人の鮮烈な対比が、複雑な気持ちを沸き立たせる。チュンチョの最後のセリフが印象的。

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