パティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ アルカザール

H王子周辺にも、都心に負けず劣らない名店がある。その一つパティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ(クリックするとHPへ)。日野市、高幡不動駅から歩いて1,2分。私がいちばん美味しいと思う洋菓子店。
フジウを知ったのは、かれこれ15年ぐらい前。昔、TVチャンピオンというオタクな知識や高度な技能を競い合う番組があって、ケーキ職人選手権に藤生シェフが出演していた。この番組に出場する人々の技術、情熱は生半可なものではない。そして、番組の中で、藤生シェフの店がこの辺りにある事を知ったのだった。せいぜい年1,2回ぐらいのペースだけれど、通うようになってからは結構長い。

この店の素晴らしいところは、何を食べても、感動的な美味しさであること。有名店でも看板商品は美味しいけど、他はうーん…普通かなぁというところもある。でも、フジウはケーキはもちろん、焼き菓子、ちょっとしたキャラメル、グミなどの小さなコンフィズリー(砂糖菓子)まで感動的。
HPを見てもらうと分かるけど、伝統菓子をベースにしていて、シュークリーム、プリン、モンブラン、ティラミス、ガトーバスク、オペラ、シブースト、サンマルクと…割とポピュラーなケーキが多いのだけど、それが藤生氏の手にかかると、もう今までこんなの食べたことない!っていう美味しさになる。もちろんオリジナルケーキも美味しい。全体的に味は上品なのだけど、素材の風味や香りは濃厚。素人にも、素材を厳選して、味も見た目も誠実に作られているのが分かる。そして、ここのケーキを食べると、いろいろあっても、目の前のケーキの美味しさしか考えられなくなり、幸せ~な気持ちMaxになれる。これ重要。

フジウのケーキは、ぜんぶ紹介したいぐらいだけど、今回は理由あってアルカザール。 

121125fujiu.jpgパティスリー・ドゥ・シェフ・フジウ
アルカザール
(手前)
1個350円くらい

バスク・オ・マロン(後ろ)

アルカザールはスペインの伝統菓子で、アーモンドと杏のケーキ。フジウの定番人気ケーキでもある。店で挽いているという皮付きのアーモンドプードルをたっぷり使った生地は香りが芳醇でコクがあり、しっとりやわらか。それを包むサブレタイプのタルト生地は、バター風味いっぱいでサクサク。これらのほどよい甘みのなかに、杏のコンフィチュールの甘酸っぱさが良いアクセント。どれも違う食感、風味なのに一体感がある。素朴だけど、深い味わい。以前は、杏じゃなくて、パイナップルを使っていたと思うのだが、現在のHPのケーキ紹介には杏と書かれているし、この味は杏だと思う。
後ろのバスク・オ・マロンは旦那が食べたけど、うまい、何コレ、すげー、とわけの分からないことを言っていた…。ガトー・バスクはフランスの伝統菓子で、アーモンド入りのサブレ生地にカスタードを詰めて焼いた菓子。フジウのは、サブレはざっくり、カスタードはねっちり濃厚。でも、全然くどくない。バターと卵とバニラの幸せなハーモニーが口いっぱいに広がる。
クリームやフルーツの華やかなケーキも良いけど、こういう素朴なケーキが評判の店ってあんまりないんじゃないかなぁ。

121126nisealcazarl.jpg”理由あって”の理由は、これ。偽アルカザールsweat02。自作。
『料理通信』(2008年9月号)に、フジウのアルカザールレシピ(パイナップルバージョン)が載っていたので、作ってみた。これはこれで美味しいのだけど、同じレシピで、どうしてこれだけ違ってしまうのかと。タルト生地は厚くてサクサク感がいまいち、アーモンドのケーキは膨らみすぎてどっしり感がなく、ボロボロ崩れてしまう。コンフィチュールは甘すぎてベトベト。全体のまとまりも悪い。もう一度、本物を食べて、研究しなおそうと思ったのだった。
再挑戦したら、また記事にするぜ!。一粒で二度美味しいネタ、いいわ~。

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