12月の映画鑑賞メモ

2012年も終わり。今年観た映画は30本程度。少ないけど、振り返ると良い作品がたくさんある。来年も良い映画に出会えますように。

山中貞雄『丹下左膳余話 百万両の壷』(1935年,日本,NHKBS)
山中貞雄は28才で戦死。完全な形で残されたフィルムは3本だけ。そのうちの1本。とても80年前の映画とは思えないなぁ。百万両の壷の争奪戦なんだけど、何かのんびり~。百万両より、昼間から可愛いお姉ちゃん目当てに矢場で遊んで、金魚釣りに行く生活もいいじゃないの、という価値観が好き。登場人物それぞれの人間味、人情をにじみ出すようなセリフや演出が上手い。丹下左膳や矢場の女将はぶっきらぼうで喧嘩ばかりしてても、その背後にある心優しさが分かるし、道場主の婿養子で奥さんの尻にしかれてる遊び人、源三郎も良い味を出している。カット割りや画づくりも肝心なところを見せずに想像させる。今でこそよくある手法だけど、その使い方のセンスは素晴らしいと思う。

ルイス・ブニュエル『哀しみのトリスターナ』(1970,イタリア・スペイン,DVD)
男はこの映画を見て女って怖ぇーって思うのかしら。私は自業自得だと思うけどね。トリスターナの若さ、美しさ、純真さ、優しさ、将来の夢や幸福の可能性、すべてを奪ったのはドン・ロペ本人だもの。年老いて、彼女の前に跪いてところで、彼女の心優しさはもう戻らない。彼が友人と歓談している時、トリスターナが松葉杖で廊下を何往復もするシーン。松葉杖の単調な音の繰り返し、トリスターナの無表情…ひたすら彼の死だけを待っている人生のようで、哀しくなる。主演カトリーヌドヌーブの、純粋な少女から、悪女への変身ぶりは凄い。

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