3月の映画鑑賞メモ

エリック・トレダノ, オリヴィエ・ナカシュ 『最強のふたり』(2012,フランス=ベルギー,DVD)。
大金持ちで四肢麻痺のフィリップと、その介護人になった移民で貧困層のドリス。境遇が正反対の二人の友情と絆がテーマだが、介護問題という点でいろいろ考えさせられる。介護者が、被介護者に対して同情や障害者とか、そういう壁を持たずにひとりの人間として接しているのかどうか。ドリスの傍若無人ぶりを嫌みなく描いているところがうまい。構成に凝ろうとして、余計な手を加えすぎ。そこがちょっと残念。

鈴木清順 『けんかえれじい』(1966年,日本,DVD)。
鈴木清順の初期の傑作。はじめて見たよ、鈴木清順。昭和10年、岡山と喜多方を舞台に、男を磨くため喧嘩にあけくれる蛮カラのキロクたちと、マドンナ。嗚呼青春!。硬派を気取って、でもやっぱり女の子が気になって硬派になりきれない。硬派アクションと繊細で初な恋心が違和感なくとけこむ不思議な映画。迫り来る戦争とともに青春の終わりをさりげなーく描くところが好き。北一輝に傾倒するキロクも、クリスチャンのマドンナにとってもこの先、辛い時代になるだろうことを予感させる。現実世界だけど、ちょっと幻想的、暗喩的な映像美も好き。モノクロの夜桜シーンが美しい。

ベン・アフレック 『アルゴ』(2012年,アメリカ,DVD)
実話。1979年イランによるアメリカ大使館人質事件が発生。CIAのトニーは、自力でカナダ大使館に逃げ込んだ6名のイラン脱出作戦を任される。惜っしいなぁ。革命の様子、衣装、町並み…細部までリアリティにこだわっているのに、空港での間一髪の連続がリアリティを失わせる。娯楽性も大切だけど、実話が肝心のところで嘘っぽくなったらダメでしょ。DVDおまけの当事者インタビューがおもしろい。

フォローする