2月の映画鑑賞メモ

3月後半はちょっと気持ち的に余裕がなくて(後日ネタにするかもしんない・笑)、書きたい記事はいろいろあったけど、なかなか更新しようという気になれなず…めんどくなってサボっちゃいました(テヘ)。で、遅れに遅れて、今頃、2月の映画鑑賞の話題になり、3月はなんと1本も観なかったよ。映画のことなんか頭からきれいさっぱり消えていたぜ。

フォルカー・シュレンドルフ『シャトーブリアンからの手紙』,2011年,仏・独,下高井戸シネマ。
「命令の奴隷になるな」。テーマはこの一言に尽きる。ドイツ占領下のフランス。たった一人のドイ ツ将校殺害の報復措置にフランス人150人を殺す。非人道的な命令に間違っていると反発しながら命令に従うドイツ軍幹部、何も出来ないと傍観する将校、ドイツに従わざるを得ないフランス官僚、最後まで毅然と反論する神父、実際に処刑する軍人の戸惑い、そして囚人たち。100人いたら100人が間違っていると言う理不尽な命令に対して、あらゆる立場の、あらゆる考えが明らかにされながらも、流れを変えられない人間たちを淡々と描き出す。ドイツ人の自己弁護に陥っていないと ころに好感。
監督は、名作『ブリキの太鼓』のシュレンドルフ監督。カメラを斜めに傾けて不穏な空気を出したりする演出は、『ブリキの太鼓』を思い起こさせるな。

パヴェウ・パヴリコフスキ『イーダ』,2013年,ポーランド,下高井戸シネマ
これは映画館で観て良かった。久しぶりに良い映画を観たなーと思った。ユダヤ人であることによって癒えない傷を抱えた叔母と、ユダヤ人であることに囚われずに我が道を行く新しい世代のイーダ。戦争の傷と希望を感じさせる。モノクロ映像がとても美しい。白黒のコントラストが柔らか、空間を意識した画作り。人間の姿は画面の隅の方にこじんまりと配され、常に何か大きな力に圧迫されているような印象を受ける。
ポーランド映画を観る度に、この国の複雑さを思わずにはいられない。ポーランドというとナチスによるユダヤ人迫害が注目されがちだが、この映画では、ナチス占領下でポーランド人によるユダヤ人迫害があったこと、戦後、迫害を受けたユダヤ人が社会主義政権に協力的で、迫害したポーランド人は彼らを怖れたことなどが垣間見える。
映画を観てしばらく後、本作がアカデミー賞で外国語映画賞を受賞したと知り、うれしかった。日本版予告は、ナレーションが語りすぎていて好きじゃないので、敢えて英語字幕の予告を貼り付けておく。

オリヴィエ・ダアン『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』,2014年,仏米伊白,下高井戸シネマ
あまり興味はなかったけど、『イーダ』と同じ日に上映してたので、ついでに。一言で言えばニコール・キッドマンの美しさを鑑賞する映画。彼女はグレース・ケリーとはあまり似てないけど、だんだんグレースの面影が重なってくるから不思議。
でも内容はいまいち。フィクションとはいえ、彼女がモナコを救ったみたいに描かれ、いくらなんでも話を盛りすぎだろうと。敵もいるなか政治的に難しい舵取りを迫られて、国家の危機を乗り切ったレーニエ公の方が何百倍も大変だったろうと、何も知らない私でも想像できるけど、そうしたレーニエ公の苦悩はチラッとふれらるだけ。どっちかというと、妻に理解のない気難しい夫という面が強調される。こんな夫でも、グレースケリーは公妃として一生懸命努力して、支えた!。偉い!と話を盛り上げていって、最後に感動的な大演説で「The End」。ちょっとシラケた。ラストに大演説という映画はめずらしくないけど、これはチャップリン『独裁者』がはじまりだと思う。

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