『夜と霧』Blu-ray&DVD(HDマスター)

アラン・レネ『夜と霧』(1955年・フランス)が、6月にBlu-ray、DVD(HDマスター)で再販売される。これまでも、DVDが版を重ねて発売されてきたが、この十年くらいは売り切れ・廃盤になっていた。私も再販売をずっーと待っていたので、迷わず予約。

本作は、アウシュビッツの惨状を淡々と暴いていく30分程度のドキュメンタリー。終戦から10年後に製作された。おそらく、強制収容所で何が起きていたのか、まとまった写真や映像ではじめて世に知らしめたドキュメンタリーであり、今でも貴重な映像資料だと思う。
最近、世の中は、こういう戦争の悲惨な映像をなるべく目に触れさせないようにする過保護な傾向があるけど、残虐だとか、怖いとか、トラウマになるだとか
ゴチャゴチャ言わずに、人間なら一度は目を背けずに見てほしい
本作はナチスを非難するでも、ユダヤ人に同情を寄せるでもない、ただ資料と証言に基づき事実を語っていくだけである。そして事実は、どんな映画より、どんな文章より、戦争や虐待・迫害とはこういうことだと、圧倒的な力で見る者に伝えてくる。
映画の最後に、ナレーションが言う。これは「ある国の特別なできごと」ではないと。昔と今は違う、日本は違う、自分は違うと思わない方がいい。他国・他民族への蔑視、戦争は、こういう結果をもたらす。同じ人間がやったことだ、ということを胸に刻む。

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