10-12月の映画鑑賞メモ

昨年10-12月の映画鑑賞です。メモってなかったので、印象に残っている作品だけ感想を簡単に。

ポール・グリモー『王と鳥』1980年,フランス,DVD
アニメーションというよりは、芸術作品だと思う。子供向けではないです。原作はアンデルセンの「羊飼い娘と煙突掃除人」。ストーリーは教訓的でそれほど面白さはないし、セリフも少ないが、アニメーションが素晴らしく、見入ってしまった。動きが美しい、建築物や乗り物、キャラクターの造形が独特で面白い、構図、カット割りやカメラワークも芸術映画レベル。宮崎駿監督がこの映画が好きらしいけど、『カリオストロの城』や、『ラピュタ』など、この映画からヒントを得ていることが分かる。予告だけでもぜひ。

神代辰巳『赤い髪の女』,1979年,日本,wowow録画
日活ロマンポルノの名作と言われている作品。主演は宮下順子と石橋蓮司。スゲー何この掃き溜め感。。。綺麗じゃないし、官能的でもない。エロってうより、人間の本性を描いている。家を捨てても、お金がなくても、若さを失っても、プライドも、人間としての尊厳なんか無くなっても、「女であること」「男であること」だけは捨てられない。愛だとか恋だとか美しい言葉で装っても、どんな男女の関係にも、この「掃き溜め」が潜んでいるんだということを見せつけられた感じがする。憂歌団の歌も効いてるねぇ。評価は分かれるみたいだけど、私は好き。

ブライアン・デ・パルマ『スネークアイズ』,1998年,アメリカ,DVD
チャラ男汚職刑事が、予想外に有能だったことから、陰謀が危うくなっていくというサスペンス。サスペンスとしてはつっこみどころもあるけど(肝心なところで偶然に頼っちゃったとことか)、面白い映画。前半のいろんな人物が絡んでくる謎への引き込み、伏線の巧さと、後半のハラハラドキドキ感。デ・パルマならではの、長回しや、分割画面や、今回は防犯カメラ映像まで効果的に使うという華麗なカメラ使い。ニコラス・ケイジのチャラ男っぷりは文句なしだし、ゲイリー・シニーズの堅さもステキ(←好きな俳優)。最後、相手をスネークアイズ(賭で親の勝ち、転じて一巻の終わりという意味らしい)に陥れて勝ったニコラス・ケイジが、ヒーローどころか人生身ぐるみはがされちゃっうところが、また皮肉で、娯楽映画に深みを与えている。結局、誰がスネークアイズ勝ちだったのかと…。最後の指輪の演出なんかも、粋です。

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