バベットに捧げるクグロフ型サヴァラン

48才の誕生日とともに五十肩に襲来され、右手が上がらなくなってしまったshimiです、こんにちは!。

さて、本日は映画に出てきた気になるお菓子を作ってみようシリーズ、第4弾
といっても、2年半ぶりの企画復活に、みなさん「何だそれ?」状態になっていると思いますので、参考までに第1弾~第3弾はこちら。
第1弾 ランダ大佐に捧げるシュトゥルーデル(2014.5.20)
第2弾 パッツィーに捧げるシャルロット・リュス(2014.6.22)
第3弾 コニー姉さんに捧げるカンノーリ(2014.6.29)
そして第4弾は、『バベットの晩餐会』(ガブリエル・アクセル監督,1989年)に登場する晩餐会のデザート。

 晩餐会メニューにチャレンジ

←きっかけは、昨年末にパン教室で作ったクグロフ。
クグロフは、フランスアルザス地方の伝統菓子で、かのマリー・アントワネットもクグロフ好きだったらしく、伝説的お言葉「パンがないなら、お菓子をお食べっ!」の「お菓子」は、クグロフだとか、ブリオッシュだとか諸説あるくらい。
卵、牛乳、バター、砂糖たっぷりのブリオッシュパンの生地に、洋酒漬けドライフルーツ、ナッツなどを混ぜて、イーストで発酵させ、このジャバラをひねったような独特な形の型で焼いたお菓子。ほんのり甘くて、バターの香りいっぱいで、ふわっととろけるような食感がたまらない~
で、このクグロフを焼いた時、そういえば『バベットの晩餐会』に、こんなお菓子が出てきたような…と、もやもや~な感じがしたので、映画を確認したところ…やっぱり出てました!、クグロフらしきお菓子が!。
ということで、せっかくクグロフも覚えたことだし、晩餐会メニューにチャレンジ!

 それはクグロフ型のサヴァラン

映画の舞台は19世紀後半、デンマークの寒村。信仰厚く禁欲的な生活を送っている老姉妹は、家族も財産も失ってフランスから亡命してきた家政婦バベットを受け入れる。時は流れ、姉妹が亡き父を偲ぶささやかな晩餐会を企画すると、バベットは姉妹のために全財産と持てる技術を出し切って、晩餐会の料理を準備する。そのメニューは次の通り。デザートはクグロフ型サヴァラン、ラム酒風味!

ウミガメのコンソメスープ
ブリニのデミドフ風(キャビアとサワークリームの載ったパンケーキ)
ウズラとフォアグラのパイ詰め石棺風 黒トリュフのソース
季節の野菜サラダ
チーズの盛り合わせ
クグロフ型のサヴァラン ラム酒風味
フルーツの盛り合わせ
コーヒー
ディジェスティフ フィーヌ・シャンパーニュ(コニャック)

上の画像は、良い仕事をして満足しているバベット。下の画像が、バベット作クグロフ型サヴァラン。

サヴァランは、ブリオッシュに洋酒シロップを染みこませ、クリームやフルーツを添えたお菓子のこと。映画では、バベットがクグロフに茶色っぽい液体をだばーっと、かけるシーンがあるので、確かにこれはラム酒のサヴァランっぽい。
調べると、サヴァランは18世紀初頭、ポーランドの貴族が考案して1840年頃にパリにも広まったとのこと。バベットがパリからデンマークに亡命したのが1870年代だから、食の最先端のパリでも、まだ比較的新しいお菓子だったんですねぇ。ましてやデンマークの寒村の村人には、見たことも聞いたこともない、もしかしたら一生出会わなくてもおかしくないお菓子だったんじゃないかと思います。

 クグロフ型サヴァランをつくって、食べてみよう

←こちらがshimi作
クグロフ型サヴァラン

さっそくプレーンなクグロフを焼き、バベットになりきって、どや顔でラム酒シロップをだばーっとかけた瞬間、はたと気付いた。これだけの大きさだと、シロップが中までシミシミにならないんじゃね?。パンに染みこまずに下にたまってしまったシロップをあわてて回収し、クグロフの底や目立たないところに竹串で小さな穴をかけてから、もう一度シロップをかけてみたが…。
予感的中。数時間後、切ってみると、しっとりしてるのは表面だけ。中はパサパサ状態なのであった…。仕方ないので、カットしたものに、再びシロップをたっぷりと回しかけて、やっとシミシミ状態に。
シロップは甘さ抑えめ、ラム酒多め。飾りは、使い道がなく放置されていたブラックチェリーの缶詰、3年くらい前につくって冷蔵庫の隅で眠っていた杏のシロップ煮、クリスマスのフルーツケーキを作った時に大量に余ってしまったアンゼリカという残り物ばかりだけど、それっぽくなった。バベット作のものはバタークリームっぽいけど、私は生クリームで。

クグロフさえちゃんと焼けていれば、不味くなりようがない組み合わせだもの、美味しいに決まってる!と確信はあったのですが。甘いラム酒がじゅわじゅわーとしみ出てくるしっとりパンと、クリームがお口で一体になってとけあって、予想を超えた美味しさ!。う~ん、幸せ~
映画の老姉妹は感動のあまり、バベットに「あなたの料理は天使もうっとりさせる」と言いますが、せいぜい干し魚とか、固いパンを食べていた人々にとっては、これはこの世のものとは思えない美味しさだったんじゃないでしょうかねぇ。。。ほんのちょっとだけ、バベットの晩餐会に出席した人たちの至福感を味わえたかな。

サヴァランは、クグロフを焼かなくてもブリオッシュを買ってくれば簡単にできるので、ぜひお試しを~。ちょっとオサレなパン屋さんには、ブリオッシュが大抵あると思います。シロップを染みこませる時は、ブリオッシュであればクリームを挟むところに切り込みをいれるとか、クグロフのようなちょっと大きなもので作る場合は、底から1-2センチくらいのところを横にスライスするとか、どこかに切り口をつくって、そこにラム酒シロップをかけるとシロップが染みこみやすいかも…(反省点)。

 おまけ 『バベットの晩餐会』の予告

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