三軒茶屋の映画館

仕事の合間に、久しぶりに映画を観ようと思い立つ。しかし、時間が微妙だった。渋谷まで出ると、上映に間に合う映画がない。近場で探すと、”三軒茶屋シネマ”で、次の仕事までの時間つぶしにちょうどいい具合に「最高の人生の見つけ方」の上映がある。モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソン…なんだか見なくても内容の想像がつく映画だ。興味は薄かったが、ま。いいかと、地図を頼りに映画館へ。
へっ…ここ?
商店街の肉屋さんの隣。小さな間口で、白地に青と赤で「三軒茶屋シネマ」の看板。ぐるっと電飾が取り囲む。その下には小さなチケット売りの窓。小窓にしばらくお待ち下さいと手書きで書いてあり、緑色のカーテンが引いてあった。横には「本日限り」と薄緑に赤い文字。ベニヤ板に手書きの立て看だ。なんともレトロ。私は、こういう雰囲気にやられちゃうタイプである。
ワクワクo(;-_-メ;)o ワクワク。
えっーっと、なになに…「フィクサー」と2本立てで、本日レディスdayで…800円だとー。安っ!。チケット売り場のカーテンがそろっと開く。そしてチケットを買うと、驚いたことに、次回200円引きの割引券が付いてきたのだった。も、もらっていいの?
小さな間口から薄暗い階段を上っていくと、子供の頃の映画館がそのまま時間が止まって、目の前に現れた。カウンター。ロビーにはガラスケースに並んだお菓子。中に入り、色が褪せたビロードのシートをパタンとたおして座る。と、スプリングがコツンとおしりにあたった。なんか、懐かしい匂いもする(気持ち的にじゃなくて、物理的に)。平日の昼間なのに、けっこうお客さんが入っていた。レディスデーだからか、9割が女性だった。ほとんどがひとりで来ている客。
チラシを見ながら待っていると、電気が落ち、スクリーンの幕がキコキコキコと音を立てながらゆっくり開いていった。
映画は想像どおりで、ジャック・ニコルソンは体も役柄も丸くなっちゃって、モーガン・フリーマンも余裕すぎる演技。これだけの俳優をつかっておきながら、内容はどうしようもない。しかし、この映画館は、なかなか素敵であった(ちょっとお尻が痛くなるのが難点だけど)。時間の関係で、「フィクサー」が見られなかったのは残念だった。見逃した作品があれば、また来るかもしれない。
いやー面白い映画だったと、外に出ると、近くにこれまたレトロな映画館がある。”三軒茶屋中央劇場”。そうか~これがそうか~と思い出す。早稲田松竹、下高井戸シネマと並んで地元密着でがんばる2番館として、よく知られた映画館である。が、家からは交通が不便なこともあって、私は一度もきたことがなかった。右から横書きに「特選映画封切場」…でも2番館2本立てである。
上映予定作品を見ると、明日から「幻影師アイゼンハイム」とあるではないか。ちょっと気になっていた映画だった。そして決心する。週末に絶対に来ようっと。レトロ映画館体験はつづく…。

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