明月堂 甘食

100318hongo.jpgおやつとはあまり関係ない話から。本郷は、東大がある街として有名。東大とオフィスが立ち並んだ本郷通りを菊坂~言問通りへ向かう路地に入ると、懐かしい風景が広がる。東大があったからだと思うが、この一画は戦災を免れており、古い建物が点在しているのだ。文人たちが集まった街としても知られており、石川啄木が下宿した旅館とか、樋口一葉が使っていた井戸なんかも残っている。左の写真は、5年ぐらい前に撮影したもの。木造三階建ての下宿「本郷館」だが、現在も人が住んでいる。ちょっと歩けば、こんな民家やお店をたくさん見つけることができる。
私が本郷をはじめて歩いたのは、かれこれ15年前ぐらいだが、その間にも、こうした木造建築がぽつぽつと姿を消して、駐車場なんかになっている。悲しいけれど、仕方がないのかな…。

こんな本郷界隈でもスタバだの、吉野屋だの、味気ないチェーン店が増えているのだが、昔からの学生街なので、老舗飲食店、商店が生き残っている。おやつのおいしいお店がいくつがあるが、本郷に立ち寄ると、必ず買ってしまうというぐらい好きなおやつが2つある。一つが甘食。もう一つがチョコレートだが、今日は甘食を紹介。 

100318amasyoku.jpgあの岸朝子さんも著書で紹介したという甘食である。

明月堂 甘食 2つ1組160円

明月堂は本郷通りにある老舗パン屋さんである。私も記憶がおぼろげだが、10年以上前かなぁ…改装して店がいつの間にか小綺麗になっていたが、前の店の時はなかなか趣があった。今もコッペパンに、サラダ、フライ、バタークリームを挟んだものとか、クリームパン、あんパンなど、昔ながらのパンが並んでいる。
なかでも大人気が、この甘食である。買ったその日だと、周辺のフチの部分がカリッとして、中はふんわり。口に入れると、卵とバターの香りがしっかりとして、ほんのりと甘さがひろがかる。懐かしい味。基本の素材を丁寧に合わせて、作っているという感じ。ヤ○ザキとか、大手メーカーの甘食って、パサパサしてるけど、ここのは口の中でほろほろーと崩れていく。牛乳と食べると、最高に美味しい。夕方には売り切れていることもある。

本郷には、もう一つ、お気に入りパン屋がある。カヤシマベーカリー。この店の佇まいは、昭和歴史遺産として永久保存したいぐらいである。手元に写真がないのが残念…。道が四つに分かれるど真ん中に、昭和建築がどーんと建っている。私はシナモンロールが好きだったが、最近はカレーパンが有名みたい(食べたことない)。

ある日、ボスが、おやつ時に明月堂のパンの袋を抱えて仕事場に帰ってきた。中身はチョココロネとクリームパン。コーヒー牛乳と一緒に美味そうにかぶりついていた。ボスは私より10才ぐらい上か。なんか分かるなー。子供の頃の最高のご馳走だったんだろうな。昭和の空気がふっと漂ってきたよ。

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