ミラーレス一眼をめぐる悶々 高級機編

最近の気になる話題から。昨日、キャノンがついにミラーレス一眼「EOS M」を発表した。9月発売。素人の本気カメラ、更新を2週間サボってる間にもカメラ事情が変わってしまう。キャノンのミラーレス一眼は、同社一眼レフレンズがほとんど使えるってところが売り。小さいボディに巨大な望遠レンズもつけられる。一眼レフKissに並ぶ初中級機にしたことで入門者を取り込めるし、古株一眼レフユーザーも、レンズが使えるなら、一つぐらい、ちっこいのも持っておくか…と買う可能性もあるわけだ。これまでのレンズの蓄積を無駄にせず、豊富なレンズで、他社にない強みをだしてきたキャノン。最近、あまりぱっとしなかったキャノンの動向がと気になっていたけど、こうきたか~と感心してしまった。

ますます先が読めなくなってきたカメラ事情。で、やっと本題へ。

気持ちは一眼レフに傾いていたけど、決めかねていた。前回(7月9日ミラーレス一眼をめぐる悶々)書いたような私の不満をヒョイっと飛び越え、一眼レフにも劣らないミラーレス一眼が登場してきたから。例えば、OLYMPUS/OM-D E-M5SONY/NEX-7FUJIFILM/X-pro1などの高級機(製品名をクリックすると企業の製品ページへとびます)。
以下の記事は、『初めて使うミラーレス一眼丸わかりBook』(マキノ出版ムック,2012年6月)と、『日本カメラ』『アサヒカメラ』などのカメラ雑誌、ネット情報、カメラ屋店員情報などに依っている。

camera 撮像素子と画質がUP!
これらミラーレス一眼高級機は、いずれも解像感、高感度撮影では評価が高い。
SONY/NEX-7とFUJIFILM/X-pro1の撮像素子は、ほとんどの一眼レフ中級機が採用しているAPS-Cサイズ!。今のところAPS-Cはこの2機だけ、そして9月発売予定のキャノン/EOS Mがこれに加わる。レンズにもよるが、撮像素子が大きいほど解像度が高く、また背景をぼかすなど一眼レフに近い画作りができる。OLYMPUS/OM-D E-M5は、一回り小さいフォーサーズだが、撮像素子とセットレンズの性能が良く、解像感も良いらしい。

とくに画質という点では、何を読んでも見ても聞いても、FUJIFILM/X-Pro1の評価がずば抜けており、一眼レフフルサイズ(高級機)に迫ったとまで言われている。確かに、カメラ屋でサンプル写真(A4)を見ると、キレが良くて、石とか、人の肌とか、鳥の羽とか、ひとつひとつの質感が美しい。価格もそれなりに高く、定価でボディ15万、レンズ平均5万。いろんな意味で、一眼レフの中級機を超えちゃってるよ…。
このX-Pro1は、ローパスフィルターレスであることが注目されている。ローパスフィルターは、モアレや偽色を防ぐためのフィルターで、ほとんどすべてのデジカメに採用されている。モアレ・偽色は、細かい模様を撮影すると、波打つような縞模様や実際にない色などが出てしまう現象。こうしたモアレ・偽色を、ローパスフィルターでちょいとボヤっとさせることで抑えるため、どうしても画質を落とすことになる。逆に、ローパスフィルターなしでモアレ・偽色を防止する技術があれば、そんだけ画質が良くなるってことらしい。ローパスフィルターレスは、今のところ、ペンタックス645D(80万!)、ライカM9(77万!)、Nikon800E(35万!)、シグマSD1Merrill(20万くらい)、リコーGXRA12マウント、そしてX-pro1。高級機か趣味性の高いオタクカメラばかり。
しかし、ローパスフィルターレスまでいかなくとも、各社、ローパスフィルターの画質への影響をいかに小さくするか、努力をしているようで、ローパスフィルターレスは、今後、高級機種では増えていきそうな予感。

camera  レンズについての新しい発見!
高級機種登場とともに、レンズに関しても、明るい良いレンズがではじめている。例えば、SONYが、ドイツのレンズ名門カール・ツァイスのライセンス生産でつくっているSonnar T*E 24mm F1.8 ZA SEL24F18Z。ネットでの評判は高く、価格は約10万円。これから、ミラーレス一眼機でも良いレンズが出てくるかも?という期待はあるんだけど、前回の記事でも書いたように、現段階ではラインナップはまだ乏しい。(冒頭で紹介したキャノンだけは、こうしたしょぼいミラーレス一眼レンズ状況において、ほとんどの自社レンズが使えるという戦略で勝負してきたので、当てはまらないけど。)

しかし、ガッカリするのはまだ早い。

ミラーレス一眼機では、ライカのMマウントはじめ、他社のレンズ、銀塩一眼レフカメラのオールドレンズを装着できるマウントアダプターが豊富に出されているなーとは思っていたが…これこそがミラーレス一眼のおいしいところぢゃーんsign03ということに、今日になって、この記事を書きながら、そうかーそういうことかーと気づいたのであった(遅っせーよ)。
それは、ミラーレス一眼は、フランジバック(マウントから撮像素子までの距離)が短いので、マウントアダプターを噛ませることで、他社のカメラ、一眼レフ機にあわせてフランジバックを長くする調整がいくらでもできるということ。この逆の調整は難しい。イメージサークル(レンズが像を結ぶ範囲)も35㎜フィルムカメラのレンズの方が、当然APS-Cやフォーサーズより大きいから、35㎜のレンズをAPS-Cやフォーサーズにつけた場合、レンズの中心部分だけを使い、性能が劣る周辺部分を使わないので描写も良くなる。
とくに世界中のカメラファンがが一度は使ってみたいと思う、憧れのLeica。ライカはレンジファインダーという反射鏡を使わない光学式ファインダー(仕組みはよく分かってない)のため、やはりフランジバックが短かい。そのため、ライカレンズを他の一眼レフ機で使用することは難しかった(と思う←自信ない・汗)。しかし、ミラーレス一眼は、ライカのフランジバックよりさらに短いから、それができるんである。どうりで、各社、ライカ対応のマウントアダプタを一生懸命こさえるわけだ…。
ということはだ。ミラーレス一眼機は、ライカや銀塩レンズをいっぱーい持っているおじさま方にはもちろんだけど、ライカやクラシックカメラ名機なんか一生縁がないぽ…という庶民にも魅力あるカメラである。というのは、中古レンズだけなら、高いことは高いけど、買えない値段じゃないからである。Leica、Contax、Nikon…などなど、これらをカメラまでぜーんぶ揃えるのは大変だけど、レンズだけなら揃えることはできそうなわけで、マウントアダプターが出ているのであれば、
ライカレンズ、一眼レフ名機のレンズが使い放題!
(ただしフルマニュアル)
おおっすげー!と思っていたら、すでにそんな本もだされておりました(だから、気づくの遅いって)。この本の表紙を見ても分かるけど、ボディが小さいのでレンズとのバランスは悪くなりそうだけどね。

camera おやじ層を意識したデザイン
ミラーレス一眼の高級機は硬派な顔つきになってきた(笑)。SONYは都会の大人が持つシックな感じ。OLYMPUSは自社が誇ったフィルムカメラへ先祖返り、FUJIFILMはライカM3に代表されるフィルムカメラ、マニュアルフォーカス時代の名機を意識したデザイン。
こうした渋いデザインは、ミラーレス一眼みたいな軟派なカメラは持てねぇぜ!と思っていた、硬派なおじさまカメラマン層をだいぶ取り込んでいるんじゃないかと思う。おやじ的嗜好の私がそう思うんだから、間違いない(何の根拠もないけど・汗)。デザインだけで考えるなら、私もこの3機種なら、どれを持ってもいいかなと思う。

いろいろ調べてみると、最近のミラーレス一眼高級機の実力は、多分、一眼レフ中級機と並ぶかそれ以上。それに加えて、携帯しやすいという強みがある。私としては、やっぱりずっしりとしたカメラを手に良い写真を撮りたい、一眼レフにしたいなぁ…というこだわりはあっても、ミラーレス一眼を知るほど、私の予算で買える一眼レフ中級機は買う気がしなくなるのであった…。これ買いたいっ!というカメラがないな~と、悶々はまだまだつづく。

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