小さな幸せ

年に数日くらい、どうしようもなく心がささくれ立つ日ってある。何で私ばっかり…と、どこにもはき出せない不満を抱えているような時。その日もそんな日だった。

時間がなくて、お昼ご飯を軽くすませようと、駅構内のカフェでサンドウィッチとコーヒーを注文。店内はすいていたけど、5才ぐらいの男の子と若い夫婦がいて、この子が落ち着きがなくて、走り回ってあっちの席に座ったかと思えば、やっぱりこっちの席がいいと騒いだり。私は子供のやんちゃには寛容だけど(自分の甥っ子もやんちゃだし)、でもその日は気持ちに余白がなくて、イラッとした。静かにさせろよ>親っ!と心のなかで叫んで、冷たい視線を投げてみたり。
私が食べはじめてしばらくすると、その親子のテーブルにもパスタが運ばれてきた。そしたら、その男の子、パスタを運んてきた店員さんを見上げ、

「わぁおいしそう。ありがとう!」

と、店にいた客が全員その子に目を向けるぐらい元気な声で言ったのだった。もうね、お世辞とか、義務感とか、親にそう躾けられてるとか…そんなのがみじんも感じられない、屈託のない満面の笑顔。本当に目の前にあるパスタが美味しそうでうれしくてうれしくて、だから持ってきた人に心から「ありがとう!」って出ちゃったという感じ。一瞬、店内がふあっと明るくなったような気がした。イケメン店員さんも照れ笑い。
そして、はっ!とする。自分がその子を見ながらニコニコしているではないか。さっきまであんなにヒリヒリとしてたのに。当たり前だけど、人間、ニコニコしながらネガティブなことを考えるのは難しい。心のささくれが、ニコニコっとした分だけ飛んでいった。そして、あー今日の私、眉間にしわよせて、暗~い怖~い顔で、会った人たちによほどの不快感を与えていただろうな…と反省。 食器を返却する時、こういうセルフサービスのカフェでは滅多に言わないのだけれど、自然と「ごちそうさま」と店員さんに軽く頭を下げていた。
小さな幸せをいただいちゃった。ありがとう

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