9月の映画鑑賞メモ

キャロル・リード『フォロー・ミー』,1972年,英,Blu-ray
イギリスのエリート会計士と結婚したアメリカ人ヒッピーのベリンダ。夫は彼女をイギリスの保守家庭・文化の枠に押し込めようとするが、ベリンダはそれになじめない…。コミカルで、泣かせるハートフルラブストーリー。この映画、好き。ベリンダの寂しさにも、探偵の優しさにも泣けちゃうんだよなー。若くないおねえさんからの一言アドバイス>この映画を彼氏に見せて、夫に同情し、若妻を面倒くせぇと思った男とは結婚しないほうがよろし(笑)。育ってきた環境が違う、それは溝じゃなくて、互いに新しい世界に出会 うこと。
周防正行監督がこの映画を好きらしい。私は確認してないが、『Shall we ダンス?』の奥さんが探偵事務所を訪ねるシーン。探偵事務所にこの映画のポスターが貼ってあるみたいよ。そう言われると、『フォローミー』に出てくる探偵と、『Shall we ダンス?』で榎本明演じる探偵は、キャラがちょっと被るかも。


ドン・シーゲル『白い肌の異常な夜』,1971年,米,DVD
南北戦争時代、南部のある森の中で深い傷を負っ倒れていた北軍の兵士ジョン・マクバニーは、女子学校の教師や生徒に助けられる。女の園にひとりの男…。イーストウッド主演で、異色作。マカロニウェスタンのヒーローから抜け出そうと、冒険した映画かな。
性的に抑圧されている環境に近親相姦経験者から清純派までいろんな女性がいて、男に言い寄られたときの反応も、嫉妬も、みんなそれぞれ現れ方違うんだけど、こういうタイプのひとは…当然こうなるよなって、その心理状態や行動がリアル。だから、その嫉妬の絡み合いが、集団として異常な行動になっていくことが非常に論理的で、説得力があって、すげーーー怖い。白人女は、子供から大人までマクバニーにちょっと言い寄られると理性を失っちゃっうのに対して、黒人メイドだけが毅然とした態度で彼を拒んでるのは、舞台が南北戦争時代の南部ってことを考えると皮肉か?。男と女たちの心理の絡み合いが、よく練られたサイコスリラーだと思う。
でも、あのぅう、わたしも一応女なんで(爆)。女の嫌ーーーな部分をどっぷり見せらちゃって、グッタリしちゃったよ。自分でも、そういう女の浅はかで嫌らしい部分があることを否定できないからね。そこを否定する女は、大嘘つきか、もう女じゃないかのどっちか。

リドリー・スコット『悪の法則』,2013年,米,DVD
脚本がコーマック・マッカーシー。コーエン『ノーカントリー』の原作者だった。どうりで世界観が似てるなと思った。
やってることは単純で、大量のクスリを欲の皮の突っ張った悪人どもが奪い合ってるだけなんだけど、出し抜いたり、横から入ったり、奪い返したりとしている間に、上には上の想像を超える悪人と悪がつぎつぎと姿をあらわし、悪が底なし沼のようにどんどんと広がって、とんでもない悪の世界が暴かれていく過程は圧巻。悪人と一口に言っても、それぞれに悪の哲学があって、どれもみんな悪に対する考えが違うってのもおもしろい。
豪華キャスト(キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、マイケル・ファスベンダー、ブラッド・ピッド、ペネロペ・クルス)が、イマイチ生きてない感じがしたかな。でも、こんなスター級俳優がごろごろ殺される映画って他にないかも。それから、こういう濃い悪役キャラを、なんでもかんでもハビエル・バルデムにお願いするのはもうやめにしようよ…。ハビエル・バルデムの無駄使い。素のバルデムの写真見ると、ジョージ・クルーニー以上にセクシーな人なんだけどなぁ。

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